思ったほどでも無かった台風十四号が去り、朝はきれいな晴天。まだ
風が強い。朝早くから、リビングでゴソゴソしきりに音がして何だいな
と思い起きると、家人がモップで床を拭いてべちゃべちゃにしていた。
何してんの?と呆れて言うが、こんなのいつもの事で朝はまだ雨で山へ
絵を描きに行けないヒマだてんで、床みがきを家族がまだ寝てる時から
しているのだなーアホとちゃうか。家にいるなら父親の病院へ預け金を
払いに車で行くてことに昨夜話してたので、別に急ぐ訳でも無いのに
三十分で急いで着替えて朝ご飯を食べコーヒーを飲み新聞をざっと読み
土曜の朝から慌ただしいたら、昼に外に食べに行くと時間が無いと、
うるさいのでお弁当持って昼すぎ何時でもゆっくり行きなはれと言う。
十時に車で五分の病院へ行き、受付で預け金と入院誓約書を出しすぐ
出て車で五分の自宅に帰る。
何にもできず、コーヒーをポットに入れてサンドイッチを持って家人が
山へ行ったので、すぐ私も家を出て散歩して駅前の喫茶店でコーヒー
を飲みながら新聞を読む。いつも居る常連の推定七十九才のおじさん
が、マスター相手に奥さんが勝手に銀行から子どもに一千万振込した
と話している。生前贈与らしいが自分だけ知らず不満らしい。奥さん
のへそくりが四千万あるとどうのどうも養子らしい。お金があっても
不満はあるんだねぇーついでに郵便局で病院の費用分を出金して娘に
好物の、鉄火巻と私は好物のカレーパンとあれこれ買い台風一過の
空を眺めて家に帰る。また病院通いが始まったな父親は少し持ち直し
た。食事はできない。昨夜は台風の音を聞きながら、村上春樹の
「カンガルー日和」を読んだが、確かにこの頃のはハルキワールドが
あった。七十なって村上さんも思うところあって蔵書やレコードを
早稲田大に寄贈したりラジオに出たり変わった事があるし毎年ある
ノーベル賞騒ぎも、本当にうんざりしてそうに思う。ノーベル賞を
とれば母校から名誉卒業生の盾でも贈られて式典に出されておだて
られてと誰がそんなの出たいわけありまへん。ハルキさんが書いて
いるように、年齢は確実にその取り分をとっていく。昔書けたモノ
が今は書けなくなるのもそのひとつなんだよね。