六月十日もすぐ、相変わらず体調は余り良くない。そらそうだと思うような
訃報がハガキで知らされて、ショックがひどい。神戸の前はトンカ書店の店主
今は花森書林の本名は結婚して変わったが、前のままトンカさん(43)が、
ガンで亡くなった。五月二八日に。弟さんが訃報を出している晩年は店に出ず
弟さんが店番をしていた。言葉で言えない悲しみがあるが、詳しくは書かない。
元町のトアロード西のビルの二階にトンカ書店を開店したのは十二年ほど前で、
オープン直後に行きそれから今までずっと続けて通っていた、人柄が明るく
話がうまく本を捜しにと言うより会いに行くて感じの人も多かったと思う。
神戸の有名な芸術家や作家さんもよく来て、文化の発信地みたいになってた。
買取を断らず店内は多ジャンルに及び本や雑貨があった。覚えているのは、
ギャラリーで個展をした時に長い時間店にいたら、終わり際に中年のヨレヨレ
のおじさんが入って来て、村上春樹の文庫本一冊売りにきてトンカさんが百円
で買い百円玉を受け取ってるのを横で見ていたが、ギャラリ内に入り私の蔵書
棚を見て、永田耕井の句集文庫三百円を持って買ってすっと帰った。すごく
頭をハンマーで叩かれたみたいな気がしたな。おじさんは本好きだった。
そんなの買わないだろとタカを括ってた自分が恥ずかしくなり落ち込んだ。
神戸の大切な人をまた、ひとり亡くした。合掌。