七月十一日が、湯川書房の湯川成一さんの命日だった。ぼんやりと湯川さん
の訃報を知った日は夏の暑くなった頃だった記憶がある。
湯川書房の本のことは、よく知られているので今更説明しないけど私が持って
いる本で一番高価なのが湯川書房の「車谷長吉恋文絵」だ。車谷さんから電話
で言われていたし欲しかったので当時仕事していた職場から賞与が出たばかり
でそのお金で買った四万円におつりが少しぐらいの値だったと思う。他にも
湯川書房の本は何冊か持ってるし今でも欲しい本が何冊かある。戸田勝久氏
は湯川書房の本のコレクターで、それこそ垂涎のお宝本を沢山持っておられ
るが、装丁もされているし見ると欲しくなるだろうな。と思う。そんな本だ
湯川さんと初めてお会いしたのは、移転前の三月書房の近くの店の時で
林哲夫さんが個展をされていた頃だった。その時撮った写真もあるが個人
情報的なのもあり出さない。二人が並んでいる姿を見て師弟みたいだ。と
思った、別にそんな関係を結んだわけでも無いだろうけど湯川さんの本作り
や気持をとても理解している感じがしたな。
当時月一回京都へ通っていたので、湯川さんにも会い沢山お話を聞いたけれど
長年京都に住んでいても、僕は大阪から来たよそ者。と言ってた。時おり、
鋭い目になり恐い顔になる。私のような若造を相手にしてくれて聞きたい
ことを話してくれたのに、老いぼれ頭は次第に忘れていくのがくやしい。