花冷えにしては、ちと寒すぎる。四月でっせー東京では雪も降って
いるらしい。お花見の人も急な雨が降ったりして困っているのでは
行き、モーニングセットをいただく。すると喫茶の友のYさんがすぐ
後に入って来る。結局、一週間ほぼ毎日一緒にお茶しているように
なる。ただのお客さん同士な他人だが面白いねぇ。初めて店に入り
一緒にコーヒー飲んでるとママさんに親子?と聞かれて大笑いした。
この店は古く、おまけに朝からとんかつ定食食べる人やビール飲む
人やら大衆食堂風の感じがあり、朝食もおいしい。庶民的なお店なの
だな。
ずっと腰が痛くて歩くのも痛くて出かけられなかったが、ようやく
マシに。本を買いに行かねばならないしそろそろ出かけないと
こんだけ家に本があっても、いざとなると足りない気がする。売り
たくない本も結構あるして、そんなこと言うてるからトウシロウな
のだ。この前「山窩は生きている」三角寛を読んでいたら、サンカ
の言葉にトウシロウがある。普通人の意味だそうだ。サンカは昭和
三十年頃まで実際にいた山の奥の川べりに瀬ぶり(天幕)を張り
あちこち移動しながら暮らしていた人等の呼び名だ。厳しい掟を
守り籍も殆どの人が無く学校も行かずで識字率が低く独自の言葉
で話した。三角寛はサンカの研究者で死後にウソが多いとか言われ
た。しかし他の研究者と違うのは、本人が身なりをボロを着て
裸足できちんと掟に従って挨拶して土産をだし、瀬ぶりに入り
迎えられて親しくしたことだろう。瀬ぶりに泊まって歌ったり
踊ったりもした。学者の前に友だちになっていたと思う。
先日亡くなった萩原健一の出た映画に「瀬降り物語」があり、当時
私は映画館で観たな。この映画の原作は三角寛のこの作品である。