週末の土曜日は朝から雨ふり。午後になり風つよく日差しが出てきた。
コーヒーを飲みながら喫茶店で「週刊文春」を読んでいたら、グラビア
に銀座の旧木挽町にある中華萬〇のラーメンの写真が目に入り、おいし
そうだなぁと思うと、ラーメンがすごく食べたくなり我ながら苦笑する。
今でこそ、ラーメンは好きだが十代終わり頃までラーメンというか、街
の中華そばが苦手だった。食べてもおいしいと思ったことが無い。なので
外食で中華料理店に入ってもラーメンを注文せず、どうして大人はこんな
にラーメン好きなんだろと思ったな。
二十代前半に元町にある某会社に就職し、冬の寒い夕暮れに仕事を終えて
すぐ近くにあった南京町に入りお腹が減って適当に東出口手前にあった
店に一人で入りラーメン(正式名は湯麺)を食べたら、始めてラーメンが
美味しい。と思って食べた。スープは白湯で麺も具も今まで食べたことの
ない本物のラーメンだと思えて、それから仕事帰りに度々寄り食べた。
今思えば、中国人のコックが作る中華料理店でひとりでラーメンだけ食べ
るような店じゃ無くて色んな料理を円卓で食べるような店だったが嫌な
顔もされず、おかみさんに覚えられて軽く話したりした。余程おいしそう
に食べてたのかもね。
結婚して子どもが幼稚園ぐらいの時に、南京町のその店に家族で時どき
行ったし家人もラーメンがすごくうまい。と気に入っていた。そのころ
給料が少なくて四人で何品か注文して食べると安くは無い値になって
一度会計した時に、おかみさんが言った値を聞き間違えて手持ちのお金
ギリギリで財布からお札を出すとカラになり少し青くなった。そのお札
を見ておかみさんは一枚だけ取り残りを私の手に戻して何も無かった
ようにレジを閉め、また来てね。と笑って言ったな。レシートなんか
無い。私も内心の焦りのようなのを何も無かったようにして、ハオチ
と店を出た。今はもうその店は無い。あの店のラーメンは今でも一番
おいしかった。