十月になって晴天続き、暑いです。週末に神戸元町へ出かけた。あれこれ用事も
多い日だったが、そのうちの一つに1003へ行くのがあり今年三回目の訪問。
脳梗塞で退院後、ようやく行けたのが五月始めだった。えらんだ堂の本も全く手
をつけられず精算だけしたが、店主の奥村さんに、これからもよろしくお願いし
ます。と言われて続ける気になり五月の時もリハビリ中で電車に乗ったりするの
も恐々で、その時は気が張ってるから平静を保っていたが家に帰るとどっと疲れ
が出て体の調子が悪くなったりした。九月の二回目の時に何とか少しだけ本を
用意して今年初めての補充ができた。その時も精算して売上を貰ったが去年と余り
変わらずコロナだったのもあるけど何だかかくッとなったな。でも、うれしかった。
それから昨日が三回目だ。五月の時を思えば体は回復している、重い本も提げて
補充もできた。ほぼ元に戻ったみたいだ。ここで、夏葉社の本を買うと手帖を
貰えるのを先月知り、予約していた。夏葉社は東京にある、ひとり出版社で島田
潤一郎さんが社長さんだ。たちあげて十年過ぎていると知るが、私は創業して割
にすぐ知ってて、「昔日の人」と「海文堂書店の8月7日と8月17日」を買って
読んだ。特に海文堂書店の方では閉店直前に出版されて千部限定ですぐ売り切れた
閉店の日に、島田社長がレジに並ぶ人の最後尾にプラカードを持ち案内されていて
坊主頭で人の良さそうな人だなぁと思った。わざわざ東京から来てくれていた。
「昔日の人」は京都の善行堂で、開店セールの時に買って元の本も知ってて、
古本好きな人なら欲しくない人は居ないと思う一冊だ。緑色の布張りで上品な
仕様で気に入っている。
さて元町で夏葉社の本を選ぶのに、並べられた本のなかから手に取ってパラッ
と読みして買ったのが「古くてあたらしい仕事」だった。そして手帖を貰ったが
あとで、島田さんの著書で新潮社の本だと気づいたがもう遅い。あちゃ
夜に寝ながら、その本を読んだが途中の従妹の話で高知の海辺で亡くなった後
の服を遺族と焼く場面で泣いてしまった。決して上手い文章では無い。しかし
実直な嘘のない語りのような文章が伝わってくる。朝の十時から夜の十時まで、
休まず仕事している。島田社長はとても真面目でよく仕事をする。夏葉社は。
やや黒字らしい。そうだろうと思う。ささやかな客だけど、ずっと応援したい。