十三日て、どうも何か悪いことが起きるような気がする。梅雨の晴れ間で洗濯
していると、ホームから電話があり母親が三日前から風邪ひいてたのが熱が
下がらず咳も出て、今日医師が診断したら肺炎だから今すぐ入院した方が良い
と言われ、タクシーに乗ってホームへ行きそのまま指定の病院へ職員の人と
母親の三人でワゴン車で大石てとこまで。話はしてあり中に入ると受付して
そのあと検査あれこれ先生の診察から、書類の記入とあるがその間の待ち時間
が長い。病室にもコロナで入れない面会できないと見送ると午後五時過ぎている。
検査して、肺炎もあるし心臓も弱っている。次に発作が起きたら死ぬだろみたい
なことを遠回しに説明し、その間研修生や看護師がぐるっと囲み聞いている。
なんだか裁判官の前で座って判決を聞いているような気分になる。見せもんじゃ
ねえぞ。ここでうわっと泣いて、先生助けて下さいて叫んで欲しいのかて少し
思うよ。しかしこのまま少し良くなることもある今日明日では無いだろう。
こんなのは父親の時も何度もあった。最初は動揺して目の前が真っ暗になる
感じだったが、何度も同じことがあると落ち着いてくる。あっと言う間に若い
のに亡くなってしまう人もいるのに。呼ばれるのを待ってる間に持って行った
文庫本を読みはじめずっと読んでいた。こんな時でも小説が読めるし次第に
引き込まれていくのもわかる。ホームの人は対角線のベンチで疲れて寝ていた。
四時すぎに仕事があるからと車椅子を持って帰ってしまった。三十代の気の
弱そうな細い男性でどこか暗い感じがある。このまま泊まりかもと思ってた
がそんな事もなく、一人で荷物を持って駅まで歩く。いつ呼びだしがあるか
わからないのはあるけど、一応入院できて落ち着く。弟も妹も仕事で来ない
いつもそうだし。帰って疲れたと夕食も食べず部屋に入り寝るけど、小説の
続きが気になり枕元で電気スタンドつけて、ずっと本を読んでいた。