七月が、はじまった。どんよりした雨のおついたち。父親に菊正宗を供え
る。地元灘のお酒で、父親は毎晩飲んでいた。十月で亡くなって四年になる。
見つけて少しうんざりしたのが、父親の部屋の抽斗から私の二十代の着物の
写真が出てきた他にも何枚もあったが全部、私の写っている写真ばかり。何
で弟や妹のが無いのか、その奥からも結構大事なブツが出てきて要るのだけ
持って帰る。お墓に納骨する時も色々とあったが嫌がる母親とケンカして、
芦屋のお墓に納骨したのも私だ。不肖な娘だが、あの世からブツブツ文句
言いながら見ているだろう。私は日本酒は飲まないけど。
行きつけの店で何となく始まった三人会も三回目。暑い店もようやく冷房を
入れたな。暑いと生ビールがおいしい。元パイロットのMさん、十五年前に
亡くなった奥さんの開けずの抽斗から、見てはいけないブツを見てしまい、
怒って仏壇を閉めて、嫁入道具のタンスも捨てるとか。何でそこまでと話
を聞くが、身内の金銭問題が絡んでいる。月の半分も家に居ないし秘密が
あったんだとか。でも愛人つくって家で密会してた訳じゃなし割によくある
話みたいな気もするけどと言うが、許せないそうな。そのうちに仏壇も捨て
るんじゃないかな、奥さんも所詮他人て気がするな逆に言うとダンナも他人
だ。子どもは血を分けた身内。目の前で車に轢かれそうなったダンナと子
どもがいたら子どもを助けるだろう。でも車に轢かれると痛いやろなぁ