冷たい雨の降る土曜日、やっと車で家人に送ってもらい東灘で唯一置いて
いる本屋J堂のある住吉へ。近所には一軒の本屋も無い。
新刊書店のそこで捜したのは「本の雑誌」で丸ごと「さようなら坪内祐三」の
追悼号で、見つけた時はホッとした。今まで十日発売のこの雑誌を買いに
行って当日は入荷してない。と知ったのが何度あったか。十一日でも無い日
がある。虚しく帰ったことも一度や二度じゃ無いのだ。
まぁそれはさておき、今号を手に取りしばらくベンチで読んでから買ったが
隣に座っていた八十代のおばあさんが大判の雑誌を開いて折り目までつけて
一時間はそこで読んでいた。指につばをつけて頁をめくるので注意しようか
と思ったしそんだけ時間かけて読んで腰をあげて元の棚に戻して出ていく
家庭画報を読んでいた。ここ図書館じゃ無いよ、この辺は裕福な年寄りが
多い高級住宅地だが、この手のタダ読み老人が多いのはベンチを置いてる
せいだと思う。
本の雑誌には様々な人が追悼文を寄せていて、全部読むと何だか切なくな
る。この末席に自分の追悼文が載ったのはよかった。写真で坪内さんが
原稿をライフ原稿用紙に手書きで書いていたのも少し意外だ。それに
きちんと本棚に整理されていた本の数々もすごかった。千円と雑誌に
したら高いが買ってよかった。